ベース初心者におすすめの効果的なリズムトレーニングの練習方法
どうすればドラマーとベーシストがより良くかみ合うのか?
気持ちよく演奏できるのか?
ここでは特に「ベーシスト自身のリズム感をいかに鍛えるか」にフォーカスを当てたいと思います。
もくじ
ベーシストはドラマーと一括り=リズム隊
専門誌やアンサンブルの話題になるとよく取り上げられるので、楽器やバンドを経験された方であればどのパートでも、1度は耳にされた事もあると思います。
ソリストやボーカリストがどんなに素晴らしいパフォーマンスをしても、リズム隊がかみ合っていないとそのバンドの演奏は、なんだかイマイチ……。
これをお読みの皆さんにも経験があるかもしれません。
ドラムやベースと言うパートは、バンドアンサンブルにおいてリズム・グルーブやハーモニーの土台を築くと言う意味においても非常に重要な位置にいます。
私自身ベースを弾くので、日頃の練習で取り入れている方法の中から、いくつかの段階に分けてトレーニング方法を書きまとめていこうと思います。
リズム感を磨くにはどうすればいいのか?
自分個人のスキルを伸ばすという意味において、ベースの他に必ず用意していただきたいのが「メトロノーム」です。
「もちろん持ってますとも!」と言う方はそれを活用していただくとして、「持ってない」と言う方はぜひ用意して下さい。
1,000円前後で売られている電子メトロノームなどで結構です。
さまざまな機能のついた物ではなく、シンプルな機能のみの物で良いです。
スマホアプリのメトロノームをインストールして使っている方もいらっしゃるかと思います。
その場合、気をつけていただきたいのが「広告の出ない物」を選んでいただきたいという点です。
何故かと言うと、主に広告が切り替わるタイミングでテンポが乱れる物が多いためです。
スマホアプリを使う場合はその点にご注意下さい。
メトロノームを使ったリズムトレーニング
最も最初に思い浮かぶであろう方法は「メトロノームを4分で鳴らしてフレーズや曲を練習する」というものがあると思います。
クリック音が「ワン、ツー、スリー、フォー、」と鳴っている状態ですね。
決して間違いではないのですが、この方法では自分のリズム感を養うと言う意味において、あまり効果が得られません(注:あくまでも私個人の見解です)。
もちろん無意味ではありません。
特に正しいテンポを知るという点では最も適切な方法です。
トレーニングに初めて取り組む場合はこの方法からで構いません。
すでにこの方法で練習されている方は、次のエクササイズに移って下さい。
それでは、実際に練習を進めていくにあたって、練習するベースラインを1つ決めましょう。
ここから先は上記のフレーズを元に話を進めていきます。
Exercise 1
まずはBPM100にメトロノームを設定し、通常通り4分で鳴らしてフレーズを練習しましょう。
今回のエクササイズのポイントは
・メトロノームを意識しなくても弾ける
・フレーズの事を考えなくても弾ける
この2つです。
BPM100でなれてきたら徐々にテンポを上げてみましょう。
規則的に(例えば10づつ)変化させて下さい。
特別どのテンポまでやらければならないと言うものでもないのですが、目安としてBPM=200を目指してください。
次はメトロノームを違う方法で使い、徐々にメトロノームから自立できるようにしていきます。
2(拍目)4(拍目)クリック
さて、4分でメトロノームを鳴らし、それに合わせてフレーズを弾くという事はできましたか?
恐らく、楽器を問わず最も一般的なメトロノームの使い方かと思います。
次は少し難易度をあげたものをご紹介します。
Execise 2
前回と同じフレーズで練習します。
おさらいも兼ねてBPM120に設定して前回と同じ方法で弾いてみて下さい。
慣れてきたら、BPMを半分の60にします。
ただし、実際に演奏するテンポは120のままです。
どういうことかというと「メトロノームが2分音符を提示している状態にさせる」ということです。
そして、クリック音の位置を2拍目と4拍目に感じてフレーズを弾いて下さい。
ドラムのスネアをイメージするとやりやすいかもしれないですね。
「メトロノーム(クリック)を『2』『4』で鳴らす」といわれる練習方法です。
メトロノームが4分音符を提示していた時と比べると、ガイドラインが半分になっている状態ですね。
と、言うことは自分でキープする必要性がより高まるという事になります。
前回のように4分音符全て出している状態では、メトロノームに合わせて弾いているだけということもでき、リズム感を磨くという意味においてはあまり効果が期待できません。
これも比較的ポピュラーな練習方法かと思いますが、通常バックビートや弱拍と呼ばれる2、4拍を強く意識する為の練習として取り入れられることも多いです。
特にJAZZミュージシャンの間では、最も一般的なメトロノームの使用方法として定着しているように思います。
裏(ウラ)クリック
さて、2拍目、4拍目にクリックを取る感覚には慣れてきましたか?
次は一般に裏(ウラ)クリックと呼ばれているトレーニング方法です。
前回までと同じフレーズや、日頃弾くことの多いフレーズでも挑戦して下さい。
Exercise 3
今回は1度BPM100で最初の時と同じように4分音符で取って弾いて下さい。
次にクリックの位置を拍のオモテからウラへ変えます。
ポイントは、ウラで鳴るようにメトロノームの設定を変えるのではなく、ウラで鳴っているように聞くようにして下さい。
なかなか思うようにいかないときは、
- 8分で右手〜左手の順にタップする
- 左手を強くタップする
- 右手のタップを空振りする
- 左手(ウラの位置にあった左手の音)とクリック音だけになる
- 左手のタップ音をオモテと意識する
- クリック音がウラに聞こえる
この手順を試してみてください。
その感覚をキープしたまま、フレーズを練習します。
メトロノームに合わせるのではなく、自分にとって自然だと思うウラの場所に、クリック音が鳴ってくれるようになるまで続けましょう。
- このトレーニングで、つい疎かになってしまいがちなウラに対する感覚をみがくことができます。
- ウラを感じることでオモテ拍の位置を正確に掴み、より安定したリズムで演奏できるようになります。
この2点が主な目的です。
メトロノームをウラでリズムを取る場合は、オモテ拍は自分で意識しないとメトロノームがウラの位置に居続けてくれません。
別の言い方をすると、しっかりと自分で拍を感じ取れているかどうかを、判断する材料としてメトロノームを活用してください。
ウラクリック活用例
ウラクリックはできてきましたか?
紹介されることの多い練習方法なので、知ってるよと言う方もいらっしゃったことかと思います。
課題フレーズ以外にも、今練習している曲やご自身の好きなフレーズなどでも取り入れていただけるとより安定感のあるリズムを出せるようになるのでぜひ続けて下さい!
ここではメトロノームをウラで取る練習法の具体例として私が日頃行っている練習方法をご紹介しようと思います。
- クリックは8分ウラで取る
- フレーズは下記のメジャースケールをKey Eから半音ずつ上昇してE♭まで(12Key)or Key Cから4度進行でGまで(同じく12Key全て)
- BPMは60からスタートし、12Key弾き終わったらBPMを10上げてもう1度。これをBPM200前後に到達するまで続ける。
というものを、ウォーミングアップも兼ねて行います。
的確なフォームを身に付けるのと、リズム感を鍛える練習をひとまとめにしたような内容です。
最初のうちはなかなか思うように進まないこともあるかとは思います。
日によって調子の良い悪いも出てくるものなので、すぐに結果を求めずに気長に取り組んでいくと良いでしょう。
自然に出来るようになってくると、演奏中の周りの音に対する反応・感度が今までと異なっている事に気がつくかもしれません。
「ハシる・モタる」や「前・後ろノリ」などの感覚的な部分も掴みやすくなってくるでしょう。
BPM160程でも余裕を持って演奏できるようになってきたら、練習のポイントを速さを上げるのではなく、正確さに焦点を移して再度取り組むようにするとより効果的かと思います。
ライタープロフィール
ベーシスト・ベース講師
土井重彰
平成17年 biwako record よりoutergarden でCD リリースし、滋賀県で開催された1000人規模の野外音楽フェスティバルやNHK テレビなどに出演。
その後新たに加入した清水リゾート.Rで自主製作CDを複数リリースし、ミナミホイールなどの音楽フェスティバルやFMラジオ NHKテレビ等に出演。
同時期より並行して多くのアーティストのサポート演奏やレコーディングに参加し、ポップスやロック、ジャズ、ファンクやラテンなどの幅広いジャンルで経験を積む。
現在は大手楽器店でのエレキベース科講師やワークショップ、音楽教室の主催やその他複数の音楽教室で指導を行う傍ら、自身のラテンファンクバンドやビッグバンドでの演奏、ジャムセッションのホストメンバーやWEBマガジンへの執筆など多方面に渡り活躍中。
エレキベース奏法全般、及び音楽理論を黒石昇氏に師事。
レッスンや演奏依頼などをご希望の方はHPよりお問い合わせください。
Blog:
http://shigeaki-doi.hatenablog.com/
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